監修/久保田千鳥:ちどりこどもクリニック院長、小児科医
子どもは主にお父さん・お母さんを通して、心の発達でもっとも大切な
『自分が生まれてきた世界への基本的信頼感』と、
『自分の存在に対する自信』を獲得して成長していきます。
そのためには、自分の欲求がいつもしっかりと受け止められ、十分に愛され保護される必要があります。
ですが、過干渉、となるとどうでしょう
過干渉とは:
子どもが望んでもいないこと・嫌がっていることをやりすぎること。
子どもは、自分が望んでいる色々なことを思い通りにしてもらうと、ある時期にはもう満ち足りて、どんどん自立していきます。例えば、おっぱいを欲しがる子や、いつもお母さんの膝の上に座っていたりする子。
その欲求をいつもしっかり受け止めていけば、いつまでも長引くことは無く、ある時期がくれば満足して自立していきます。赤ちゃん時代の丁寧なお世話や関わりはとても大切ですし、愛されたいという欲求(抱っこして、聞いて、見て、など)は、しっかり受け止めましょう。
ところが、子どもが「もういい」と言っているのに、それでも無理にするのは過干渉です。
そうなると、子どもの要求は長引き、いつまでもたくさんの保護を求め、自立も遅くなってしまいます。
過干渉は、自立の芽を摘んでしまい、自主性・主体性を損なう恐れがあります。
『干渉』というのは、子どもが自分のやりたいことではなく『やらなければならないことを教えられること』ですね。
やりたいことを我慢して、やらなければならないことを「やりなさい」とか、やりたいことでも「やってはいけません」ということ。
世の中にはそういうこと(しつけ)もたくさんあるので、ほどほどに必要です。ところが、子どもの自主性・主体性は、やりたいことの中で育ちます。
やらなければならないことばかりやらせていると・・・自分がやりたいことよりも、やらなければならないことに関心が強くなります。
そして、やらなければならないことをきちんとできた時に、褒めたり、物を買い与えたりする、小さい時からこうしたことをされすぎると、評価に過剰になっていきます。
親や大人の評価ばかり心が奪われ、褒められることばかりして、叱られるようなことをしない子に育ってしまいます。
幼児期になると、子どもは自発的に行動するようになります。色々な事に興味を持ち、失敗しても叱られてもどんどん挑戦していきます。親は心配で見ていられないですね・・・つい、手や口を出してします。
しかし、この規制や干渉が強すぎると、子どもは親の愛情を失うことを恐れて「どうすれば褒められるか」という親や大人の評価ばかり気にするようになります。周囲から「〇〇しなさい」と言われることばかりして、本来の自分の行動がどんどん失われ、自分を見失ってしまいます。幼児期には、本来の自分、というものがはっきりしていませんので表面化しませんが、思春期になると問題がはっきり出てきます。自己を失った状態の自己不全感、自分がない、という状態になります。
大きくなってから褒められることをするのはとても良いことですが、小さいうちから褒められることしかしない子になってはいけません。幼児期や小学校低学年では、いい子にしていれば褒められることが分かっています。
分かっているけれど度が過ぎたり、規制を破って自分のやりたいことをしてしまう、これが正常な発達です。
そうは言っても、いけないことは叱って、良い悪いを教えることも大切ですよね。
さて、「本当にやってはいけないこと」とは・・・
みなさんは、どう考えますか??
例えば
●命にかかわること ●相手や自分を傷つけること(精神的にも身体的にも)
●人の物を盗むこと ●社会のルールを破ること
●お金に関すること・・・ など
本当にやってはいけないと思うこと、許せないと思うことは、きちんと教えていきましょう。
その規制や干渉が、「本当にやってはいけないこと」がどうか、振り返ってみて下さい。
過剰に「ダメ」「いけない」「しなさい」と言っていないでしょうか??
信頼していない人からの命令や規制を、受け入れたいと思うでしょうか??嫌な気持ちですよね・・・お子さんにはぜひ、思っていることを自由に言わせて、それを批判せず、よく聞いてあげてください。
『聞く』というのは欲求をかなえてあげることです。かなえてもらえれば、どんどん話すようになっていきます。
これまで過干渉気味の関わりだった場合、親にのびのびと言いたいことが言えないかもしれません。
長い時間をかけて少しずつ、ゆっくり聞いてあげましょう。
信頼していない人からの命令や規制を、受け入れたいと思うでしょうか??嫌な気持ちですよね・・・
お子さんにはぜひ、思っていることを自由に言わせて、それを批判せず、よく聞いてあげてください。
『聞く』というのは欲求をかなえてあげることです。かなえてもらえれば、どんどん話すようになっていきます。
これまで過干渉気味の関わりだった場合、親にのびのびと言いたいことが言えないかもしれません。
長い時間をかけて少しずつ、ゆっくり聞いてあげましょう。